ハーメルンの笛吹き男

 その男はずっと以前から笛を吹いていた。ざっと30年以上前から。
 改革を必要と感じている感性のある人間には心地よい音色であった。しかし、殆どの有力者は耳を貸さなかった。にも係わらず、不撓不屈の精神力を持ったあの男はくじけなかった。30年間ずっと笛を吹き続けた。
 6年近く前、その男はなお一層力をこめて笛を吹き始めた。「民でできるものは官でやる必要はない。規制を緩和し或いは撤廃し自由な経済環境を作って民間活力を導入し、我が国の経済を活性化させ、薔薇色の社会を築くのだ」と。

 人々には、その笛の音が、許認可権限を振りかざし権力を乱用し、退職後はしかるべき場所に天下り、税金を食い尽くし、汚職と言うペスト菌を撒き散らし、社会をダメにしてしまうネズミたちを退治してくれるように聞こえた。
 人々の期待が高まるにつれ、陣笠連中も勝ち馬に乗ろうという動きになった。そうなるとその親分たちも知らん顔はできなくなった。ついにその男は政権を手に入れた。
 だが、彼が退治したのはペスト菌をばら撒くネズミではなく、郵政民営化に反対した造反議員といわれる、国民にとっては取るに足らない、毒にも薬にもならない小数の議員だけだった。
 その結果を見て、当初は手ごわい相手が現れたと、戦々恐々としていた既得権者たちも、恐るるに足らずと、今や増長のし放題。以前にもまして、利権を漁っている。
 官製談合を指揮した何人かの知事や特殊法人の親玉をしょっぴいてお茶を濁しただけで、世の中はますます悪くなっている。
 その男の後継者も「美しい国・日本」といかにも心地の良い笛の音を奏で続けている。
 人々がその笛の音に浮かれているうちに、教育基本法を改正し、教育の国家管理を強め、愛国心の強要を企んでいる。更には、防衛庁を防衛省に昇格させ、次は憲法九条の改正だといきまき、お爺さんの代から三代に渡る悲願はここに達成されようとしている。
 しかし、国民はまだ気がつかない。日本の平和を愛する子供たちが夢遊病者のように、二代に渡るハーメルンの男たちの奏でる「郵政民営化、規制緩和、美しい国」と言う心地よい音色に浮かされ、何処かへ連れ去られようとしていることに。
 連れ去られたら最後、二度と帰って来れない事は、グリム兄弟が記録しているのだが・・・。
 目を覚ませ、平和の国・日本の子供たち!

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