愛鷹山の九月の花たち

 暑さ寒さも彼岸まで、と言うが、その秋の彼岸を二週間程後に控えた9月4日、うだるような暑さの中、久しぶりに愛鷹山を歩いた。水神社に車を止め、つるべ落としの滝まで歩いてみた。渇水期には水の涸れる滝、当然水はないだろうと思って歩いたが、やはり水は涸れていた。代わりにこちらが滝の汗だ。  真夏をも凌ぐ猛烈な暑さだが、それでも山はちゃんと小さな秋を生み出していた。  夏の間ず~っと咲いているタマアジサイがまだ咲いていた。実に花期が長い。  可愛い可愛いゲンノショウコ  これは立派なマムシグサだ!・・・堂々としていた。  一際目立つヤマホトトギス・・・と思ったが、実のところ拙者はヤマジノホトトギスと区別がつかない。  以下、我がBBSで、“はなせんせ”の確認をとった。  これはマメ科「ヌスビトハギ」と言うそうな・・・物騒な名前とは随分とギャップのある可憐さだ。  きっと、見た人の心を盗んでしまうのだろう。  そのヌスビトハギとヤマホトトギスのコラボ。  キク科シオン属「シラヤマギク」    ミカン科マツカゼソウ属「マツカゼソウ」  シソ科ヤマハッカ属 「ヤマハッカ」  最後は、あまり観賞に耐えられそうもないが、イラクサ科カラムシ属「ヤブマオ」  不気味な植物であった。

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尾瀬の思い出

 果穂について・・・  妖しげな上の2枚の写真は、朝靄煙る中、全身にダイヤモンドを散りばめ、狂おしいまでに存在感を示す高山植物・チングルマの果穂と言うものなそうな。「カホ」と読むのかと思ったら、な、何と!「カスイ」と読むそうな。(=^_^;=)  下の写真は、そのチングルマの花である。  春は花、夏は果穂、秋には紅葉とそれぞれの季節を楽しむことができると言う触れ込みの植物。  7月19日、尾瀬ヶ原ではこのチングルマの果穂を見ることができた。そして、その尾瀬ヶ原の南西に、燧ケ岳と対峙する至仏山に登ると、下の方では果穂、頂上付近では花が見られた。1日で2シーズンを楽しめる垂直分布に感激。  また、至仏山の天涯にハクサンイチゲと競い合うように咲き乱れるチングルマは見事ではあった。が、しかし、私の個人的な好みでは、花よりこの果穂に魅力を感じる。  花よりも果穂の方が情念のようなものを感じ取ることができ、想像力を逞しくしてくれる。  いつまでも美しくありたいと願う女性の執着心と言うか、情念と言うか、未練とも言うべき心根にも似たこの花の佇まいがいじらしい。  ついでに、カスイでなくカホと読むのならもっと気に入ったのに。 「チングルマの種子は、花穂と書くか?果穂と書くか?」に続く

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至仏山の風景

 7月19日午前6時30分、至仏山の登り口に立った。  同窓生11人でツアーを組んだのだが、寄る年波・・・ここで、山登りは嫌だと言う尾瀬ヶ原散策組と至仏登山組の二手に分かれた。至仏登山組は4人。尾瀬ヶ原散策組の7人とは鳩待峠で落ち合い、一緒にお昼を食べようと言う手はず。  登り口に立つ案内の看板には、至仏山頂~尾瀬ヶ原間は登りのみ利用するようにとの注意書きがあった。つまり一方通行。下りは事故が多いから禁止になったことを物語っている。侮れないコースだ。登り始めたら引き返す訳には行かない。安易な気持ちで登れる山ではない。とは言うものの、足に全く自信がない訳ではなく、昼には充分に間に合うだろうと軽い気持ちで出発した。尾瀬ヶ原散策組より早く、昼前には鳩待峠に着いて、岩魚の塩焼きを肴に冷たいビールで喉を潤し、ゆっくり尾瀬散策組の到着を待つとしよう。  登り始めて程なく、尾瀬ヶ原とその向こうの燧ケ岳を見渡せるようになる。  至仏山は尾瀬ヶ原も周囲の山並みも一望できるなかなかの絶景ポイントであった。  山の天気は変わりやすい。出発する時は殆ど快晴であったが見る見る雲が出て来た。    いってん俄にかき曇り・・・と入力し、果て?「いってん」はどんな字だったかな?一天か?一転か?はたまた一点かあ~?と検索してみると、これが分からない。誰もが苦労しているようで、自信を持って正解を解説しているサイトは見当たらず、みんな平仮名書きだ。  まあいい。今さら試験を受ける訳で…

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至仏山の花たち

 さて、今回は愈々、難問の至仏山の花たちの写真に取り組む。  至仏山は高山植物の宝庫と言われているだけあって、沢山の花たちに出会った。しかし、かなり急峻な登山道に手こずり、私のような山の新人にとっては、♪景色なんぞは夢のうち♪勿論、花を愛ずる余裕はなく・・・従って、撮りそびれた花も多いし、また、折角撮っても、笑う膝とそれに連動する両腕が持つカメラは常にブルブルと震え続けて、見るに堪えない出来上がりの写真も多かった。結果、写した写真は四百数十枚に上ったが、勿論、ブログにそんなにアップできる訳もなく、先ずは、手当たり次第に削除することから始めねばならない。 これがまた、我が子を切り捨てるようで忍びない作業である。(爆  それでもなんとか百枚程度に絞り込んだが、私のように記憶力の褪せたいい歳の人間にとっては尚も膨大な枚数で、サムネイル画像をパソコンのディスプレイにいっぱい広げてみても考えはまとまらない。どんな構成にするか手がかりもないまま、「ええいっ!儘よ!!」と先ずは自分の一番好きな花をアップしてみることにした。  タテヤマリンドウである。  小さくて見落としがちな花であるが、可憐にして且つ凛として立つその姿は美しい。  膝笑い両手ブルブルのいい歳のおっさん、こんな写真が撮れるなんて、まだまだ若いもんには負けんぞ!この調子で今年もまた富士登山に挑戦だ。(笑  下は同じくタテヤマリンドウだと思うが、随分と色白である。まあ、色白のタテヤマリンドウと言うことでどうだろうか…

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尾瀬の風景

 7月18日午後の尾瀬ヶ原の風景である。  夏だから水芭蕉の花はないが、代わりに水辺に咲くヒオウギアヤメが美しい。  やはり「ゆれゆれる浮き島」が尾瀬の典型的な風景であろうか。  モウセンゴケがもっと赤くなるにはもう少し時間を要するであろうか。  刻々と変わる山の天気。その移り行く変化を逐一水面がとらえる。  湿原の一面に広がるワタスゲとニッコウキスゲも、また尾瀬の典型的な顔の一つであろう。  至仏山・・・よし!明日はあの山に登るぞ!!  「至仏山の花たち」に続く

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尾瀬河骨を探せ・・・

 7月18日未の刻、鳩待峠より尾瀬ヶ原に入る。  尾瀬と言えば、ミズバショウ或いはニッコウキスゲを思い浮かべる人が多いだろうが、私は断然ヒツジグサファンである。  水に浮かんで夢見るように空を見上げている姿は何ともいえずあどけなく、実に癒される絵である。  ヒツジグサと言えば、そのライバル的存在はオゼコウホネ。  今回の旅の目的は、このオゼコウホネを見ること。昨年の尾瀬山行では一つも見ることができなかったので、今年こそはと思っていたが、やはりどの水溜りにもオゼコウホネは見当たらない。  この時期、群生するニッコウキスゲも見てみたいが、鳩待峠到着が昼過ぎで、宿泊施設が山の花では如何せん時間がない。昨年は見晴から東電小屋~ヨッピ橋経由で竜宮へ出る途中で、花期を過ぎ実となったニッコウキスゲの群落を見ている、そこへ行けば群生するニッコクキスゲを見ることはできるだろうが、17:00からの夕飯に遅れては大変である。翌日は早朝から至仏山に登ることになっているので、今回もニッコウキスゲの群生する風景はお預けだ。  代わりに、ヒオウギアヤメを堪能しよう。  水辺に咲くアヤメはやはりシックだ。  上はミズチドリと思われるが、純白の小さな花の房が美しい。  トキソウは薄いピンクのお嬢さん。小さくて愛くるしい花である。    夏の尾瀬 図鑑片手に 屈みけり  そのトキソウをライバル視するかのように直ぐ近くに咲く濃いピンクの花はサワラ…

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富士山麓の春

 長い間、特別支援教育に携わって来た高校の同級生が、退職後、秋のキノコ狩りと春の山菜狩りと、年に二回、子供たちを山野に遊びに連れて行くボランティアを行っている。  今年も5月16日にワラビ狩りに行くと言うので、お手伝いも兼ねて連れて行ってもらうことにした。  「いきいきクラブ」と銘打ったこの遊びのコンセプトは「できることをみんなでやろう」だそうな・・・。だから私の役目は危険がないよう時々目を配ること。それだけであるから主な行動は我が家の食材となるワラビを摘むこと。  場所は表富士の麓・板妻の野原。  秋には一面薄原(←ここをクリック)となるが春は青々とした文字通りの野原。  五月とは言えまだまだ冷たい富士山おろしの風が迎えてくれる野原にはあちこちに黄色い可愛い花が・・・。  やはりお手伝いで同行した同級生の奥さんが山野草に詳しく、上は多分ミツバツチグリで、下は多分、キツネノボタンではないかと解説してくれたが、私にはどこがどう違うのかさっぱり見分けがつかない。  こちらは・・・上はヤマルリソウをちょいとばかりでっかくしたものではなくホタルカズラだそうな。で、下はナルコユリではなく恐らくアマドコロだろうと言うこと。  家に帰ってからアマドコロとナルコユリなるものを検索してみたが、やはり私には見分けることは不可能と分かった。  悪い癖で山野草が気になりだすとそちらにばかり目が行ってしまい、肝心のわらびは不漁。山野草…

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今年の長九郎山のシャクナゲは?

 爽やかな五月の風に乗ってヤマシャクナゲのお誘いが届いたような気がした。その誘いに乗って5月8日、伊豆の長九郎山まで出かけてみた。  沼津から松崎と言うとかなりのロングアプローチになるが、やはりこの時期のあの場所の散策は外す訳には行かない。  一緒に連れて行けと言う友人が早朝迎えに来てくれたにもかかわらず、長九郎山への登り口である富貴野山・宝蔵院近くの駐車場に着いたのは午前10時を回っていた。  車から降りると鶯のけたたましい程のお出迎え・・・「けたたましい」は適切な表現ではなく、実際は耳にとても心地よい美しい鳴き声であるのだが、直ぐ近くでさえずり続けるその迫力を適切に表現する力は残念がら私にはない。  駐車場から程ないところに宝蔵院はあり、入口に居並ぶ石仏群が苔むして目に鮮やかだ。  境内の杉林に設えられた苔むした「哲学の道」とも言うべき散策路はあまりに見事で、見惚れているうちに写真を撮るのを忘れてしまった。(境内の苔むした散策路は2007年5月20日付け「宝蔵院~長九郎山(杉木立の美林とシャクナゲ回廊を行く)」ブログ記事を参照)  宝蔵院裏手の杉林は見事と言う他ない。  良く手入れされ、神々しいまでの眺めである。丁寧に枝打ちされた杉木立は真っ直ぐに伸び、竹林ではないかと見紛う程だ。枝打ちして間もない場所を通ると杉の木の香りが微かに漂い、将に風薫る五月。しかも前日の雨でホコリも一掃されており、胸に入る空気は新鮮そのもの。  フィトンチッドたっぷりの…

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「沼津アルプス縦走」続編

 昨年9月23日の記事・「沼津アルプス縦走」の続きとなるが、年が変わり、1月30日(土)、愈々香陵63期同期生の新年会の当日となった。  約束の朝8時ちょっと前に、香貫山の登山口に行くと、パートナーのKAZ君は既に待っていた。新年会参加者17名の内、会場の民宿まで歩いて行こうと言う物好きは、結局のところ我々2名だけであった。早速登り始める。  山はまだ冬の眠りから覚めておらず、目を引くような花は一輪もない。生い茂る木々の葉もなく、その分眺望はきく。また心がけの良い私のお出ましとあって天気は上々、珍しく富士の粋な立ち姿を目にすることができた。       (↓クリックすると800X600ピクセルに拡大されます)  本日の山歩きの楽しみは、山野草ではなく、富士山と奥駿河湾沿岸の景色となった。  冷たい風も吹くことなく、穏やかな日差しが山を、海を、空を、爽やかに淡く色づけし、水彩画を見ているようだ。  遥かかなたに雪を戴いた南アルプスの山並みも見え、その下に、凪の駿河湾が煌めいていた。見慣れた風景ではあるが、やはり故郷の山河は美しい。  今回は、大平山は省略し、多比口峠より多比に下りる。それでも、やはり冬場は身体の調子がイマイチで、香貫山登山口から多比まで6時間弱を要してしまった。多比からは新年会の会場まで海岸沿いの一般道を2時間弱歩くことになる。  淡島を回ればやがて三津・・・、目的地までは程ない。  4時前…

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今日の富士山

 仕事で外出したその途中、よく晴れた空の下、いつもと変わらぬ美しい富士が見えた。  生まれた時から富士の見えるところで育ち、誰でもそうだろうが、この山には特別な思い入れがある。旅行などに出かけ、遠くから帰って来て富士が見えると、いつもホッとしたものだ。  仕事などで疲れ、ふと顔を上げて富士が見えると、いつも気分を一新してくれたものだ。しかし、きょうの富士山は少し違っていた。  片山右京・・・元F1レーサーで今は冒険家と言うことだから、謂わば危険と遭遇することが商売。承知でそう言う危険なところに出かけて行くことは止むを得ないのだろう。プロの冒険家に私のような山の素人が何も言うことはないが、ただただ残念なことである。  いつも私に英気を与えてくれる富士が、きょうはそうではなかった。  車を止めて暫し富士を眺める。  あのぱっくり開いた宝永火口の右側を通って登って行ったのだろう。  私の富士山のシーズンは4月下旬から11月の下旬まで。この間何回となく太郎坊を訪れ、頂上は目指さず標高1400mから1700m位の間を散策する。その私のフィールドの1000m程上で痛ましい事故が起き、二人の命が失われた。富士を見るといつもホッとするのにきょうは胸が痛むばかりだ。  遠くから眺めると、両側になだらかな稜線が広がり、いかにも優しそうに見える。しかし、六合目辺りから上は夏場でも夜間には過酷さを極める。私は去年も今年も太郎坊からの夜間登山を試み、寒さに耐えられずに、去年は八合目辺りで…

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秋深まる

 太郎坊~幕岩~三辻~四辻~二子山~太郎坊(2009年11月3日)

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太郎坊の秋

 10月に入り、今年の紅葉はどうだろうか?と気になり始めていた。  10月4日(日)、朝食を済ませた頃、秋らしく晴れ渡ったので、まだ早いとは思いながら太郎坊周辺の秋を見つけに出かけることにした。  沼津では晴れ渡っていた空が、富士山に近付くにつれ雲が多くなってきた。  太郎坊の駐車場に着くと、富士山はすっぽり雲の中。  暫く駐車場で待っていると、雲が切れて富士が姿を現した。  さ、出かけるとするか。  思った通り、雑木林はまだまだ緑のままだが、それでもところどころに秋の気配を感じることはできる。  林の中ではヤマシロギクと思われる花が盛りを迎えていた。  白一色の花園にアキノキリンソウが一輪彩りを添えていた。  太郎坊から幕岩までの雑木林はまだまだ秋と言えるほどの装いではなかったが、幕岩から上のカラマツ林は初秋の装いにお色直しが済んでいた。だが、まだもうチョイと言う感じ。  カラマツ林は去年アップしたセピア色の秋には程遠いし、森林限界から上の山肌も草紅葉と言うには物足りない。  三辻から四辻方面を眺めると、何時見ても美しい木花咲耶姫様のオッパイ山もビキニのブラの色を少々変えてくれていた。それにしても美しい。  例によって見とれていると、靄がかかっては晴れ、かかっては晴れの繰り返し。雲と青空のいたずらで、木花咲耶姫様の山肌は七変化だ。

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沼津アルプス縦走

 二十年程前に一度やったことがる。その時の印象は、「ただ、だらだらと距離が長く、しかもアップダウンの連続でかなりきつく、あまりそそるハイキングコースではない。」と言うもの。ま、好みは人それぞれで、「好き」と言う人もいるだろうが、標高300メートル前後のところを落差100m以上を上がったり下がったりの連続で、大して景色がいいわけではなく、夏場はただ暑いだけで、私の好みではない。  そのあまり好みとしていないハイキングコースを何故歩くことになったかと言うと、香陵63期の同窓生の仲間内で、毎年、新年会をやっているのだが、その新年会の会場は、内浦湾をはさんで沼津の対岸にあたる同窓生の営む料理の美味い民宿と決まっている。で、今年の新年会で、酒の上の話とは言え、来年の新年会には、その民宿まで、ハンニバルよろしく沼津アルプスを越えて攻め込み、山歩きでからからとなった喉で美味いビールを飲もうと、同窓生KAZ君と約束をしてしまったのである。挑まれると後には退けない性格。かくなるうえは実行あるのみである。  年の頃も丁度シルバー。このシルバーウィークを利用して早々にその予行演習をしようと言うことになった。いや、何事も準備は怠りなく備えておくことは肝要である。  沼津アルプスとは、誰が言い始めたかは知らないが、沼津市のホームページによると、香貫山 (193m)、横山 (183m)、徳倉山 (256m)、鷲頭山 (392m)、大平山 (356m)の山並みの総称である。どの山も標高は低いが、なかなかの急峻であ…

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須走の森のキノコ狩り

 恐ろしくなるほどに歳月の流れの速さを感じるようになって久しいが、今年もあっという間に夏が過ぎ、いつの間にかキノコ狩りのシーズンになっていた。毎年行っている香陵63期の同期生たちとのキノコ狩りは今や外すことのできないささやかな楽しみの一つだ。今年もいつものように須走の森へ。  晴々男を自認する私の行く手に雨はない。昨夜の激しい雷雨も、また、早朝のどんよりとした曇り空も、現地に到着する頃には嘘のように晴れ渡り、眼下に雲の美しさを際立たせていてくれた。  小富士からの眺めも素晴らしい。  ここから山中湖まで見渡せるのは珍しいことだ。  さて、森の中へ・・・    森の中の木々の根元を殆ど占領しているのはカニコウモリ。  トリカブトやアキノキリンソウも美しい。  キノコ狩りで一番の問題は毒キノコ。毒か毒でないかの見分けは、素人には難しい。  しかし、ここ須走ではそんな心配はいらない。  須走登山口の山小屋・東富士山荘のオーナーでキノコ博士と言われている米山さんが親切に一つ一つ丁寧に鑑別してくれる。この須走の名物男が、ここ須走のキノコ狩りの人気の秘訣だろう。  御殿場食品衛生協会発行「富士山のきのこたち」の編集長でもある。  ただし、キノコを根こそぎ採ってきたりするとチクッと叱られるから気をつけよう。必ずカッターかハサミで根元で切り、根っこは次のために残しておくのがマナーとな…

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富士山頂に立つ(還暦記念富士登山)

 去年の夏から密かに思い続けていた四十年振りの富士登山での再登頂・・・達成はしてみたもののさほどの感慨はなかった。何故だろうか?と考えてみた。  実は昨年の夏、思い立って太郎坊からの登山を試みてみごと失敗し、「富士登山、若気の至りか年寄りの冷や水か・・・で、登頂断念。」の記事を書くにいたったのだが、あの時から富士登山の夢はいつしか一種の使命感に変わっていた。  昨年リベンジを誓い満を持して臨んだ今年・・・と言っても何にも準備はしていない。気持ちだけ満を持していたと言うこと。やはり昨年同様思いつきの域を脱してはいなかった。  今年は単独行を避けるため、7月の下旬に同級生KA君と登る約束をしていた。そのKA君は雨男だが、他の同級生はカートがなければゴルフもやらない連中ばかり、若干の不安はあるものの贅沢は言えない。しかし、そのKA君の威力たるや大したもので、7月は全国的な天候不順を招き、延び延びになったまま8月に突入。8月には「還暦記念尾瀬ツアー」もあり、それが終わってからと話し合っていたものの、それ以降もその相棒の仕事が忙しく、二人で登れる目処は立たなかった。  そんな状況の中、8月17日の晩、テレビを見ていて天気予報の番組になった。「今夜は晴れだが明日の晩は山間は崩れる」  ヨシッ!行くなら今夜しかない。またも思い立ったら実行せずにはいられない駄々っ子的性格が頭をもたげ、支度を始めていると、大学3年の息子が「俺も行く」と言いだした。単独行に若干の心細さを覚えていた私は、「ヨシ、じゃあ連…

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尾瀬一人占め

 「あこがれの尾瀬ヶ原を歩く 」の続きで恐縮だが・・・  2009年8月9日  尾瀬小屋の窓の外がようよう白くなりゆく頃目覚めた。  前夜の天気予報では今朝は雨。天気予報を信じて早朝の散歩を諦めた仲間たちはまだ深い眠りの中にあった。予報に反して雨の音は聞こえない。時計を見ると4時を少し回ったところ。そっと床から抜け出し簡単に身支度を済ませて外に出た。  玄関の外に出ると、数人の一隊が準備を整えまさに出発するところであった。彼らは宿のスタッフらしい男に「どうもお世話になりました。」と挨拶を残して歩きだした。宿のスタッフらしき男は「どうもありがとうございました。お気をつけて。」と見送った。燧ケ岳に登るのであろうか?尾瀬沼方面に向かって歩き出した。それを確認し私は彼らと反対方向の尾瀬ヶ原へ向かった。  尾瀬ヶ原を一望できるところまで来ると、朝もやが山際に立ち込め、紫色の大気の中に浮かび上がって、神秘的な雰囲気を醸し出していた。  シメタ!誰もいない!!広い尾瀬ヶ原を一人占めだ。  少し歩いて振り向くと山の上の雲を朝日が赤く染めていた。・・・きょうも天気に恵まれると良いのだが・・・。  一時間程散歩して宿に戻った。  6時からの朝食を済ませたらきょうも尾瀬ヶ原の散策である。さて、きょうはどんな花たちとの出会いがあるだろうか?  きょうのコースは東電小屋経由で、尾瀬ヶ原の外周を回っての散策である。  前日も出遭っているがイワショウブ・・・なか…

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あこがれの尾瀬ヶ原を歩く

 2009年8月8日、ついにあこがれの尾瀬ヶ原に立つことができた。  ♪夏が来れば思い出す  遥かな尾瀬 遠い空  霧の中に浮かびくる  やさしい影 野の小道  水芭蕉の花が咲いている  夢見て咲いている  水のほとり  しゃくなげ色にたそがれる  はるかな尾瀬 遠い空♪  季節がら水芭蕉の花はないが、それ以外は全て歌の通りだ。いや、その広大さは想像以上で、打ちのめされるほどに圧倒された。  なるほど、これが♪花の中に そよそよと ゆれゆれる 浮き島♪と言うものか・・・水のほとりでは、今は、水芭蕉の花に代わって、ミニ睡蓮のヒツジグサが白昼夢を見るようにぽっかりと浮かんでいる。  百花繚乱とは行かぬが、やがて訪れるであろう草紅葉に先駆け、ナガバノモウセンゴケが湿地の一角を朱に染め、それに負けじと、木道の両側にはサワギキョウ、キンコウカ、写真にはないがミズギボシ、ソバナ等が競い合って咲いていた。  私の植物の知識では判別は難しいが上はイワショウブであろうか?下はワレモコウであろうか?その下はドクゼリと思われる。  上はコオニユリと思われる。  下は・・・盛りを過ぎてしまったようだがクガイソウ。  クガイソウを見て、今回の尾瀬行への参加を断腸の思いで取りやめた、今年、齢八十を数える高校時代の恩師が、ちょ…

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夏空戻る

 太郎坊より富士山頂を望む・・・7月26日・・・漸く梅雨明けだろうか???  太郎坊から幕岩にかけての雑木林  幕岩からの眺め  幕岩上のカラマツ林から宝永山を望む  幕岩上のカラマツ林・・・宝永山より吹き下ろし、カラマツ林を渡ってくる風が冷たくて気持いい。  幕岩上のカラマツ林  二子山  素晴らしい!  こちらも気になるが、キレンゲショウマの開花も気になる。散歩は早々に切り上げ、次の目的地に行こう。  今回は二子山登頂は手抜きとしよう。  木花咲耶姫の胸元より沸き立つ雲・・・ここを通って帰路につこう。

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ササユリ

 ささゆりの 初々しさに 足止まり  譬えれば まだあげそめし ささゆりや  ささゆりも 頬に紅差し お年頃  三年前にはこのように元気な姿を見せてくれていた我が狩場のササユリ。  箱根山や関東ではまだ見頃の所もあるようだが、ここ静岡では紫陽花の季節は既に終わろうとしていた。その紫陽花にすっかり気を取られて、大事な花のことを忘れていた。  去年、一昨年と、一株も見つけることができず、遂に絶滅したのかと半ばあきらめていたが、妙に気になって出かけてみることにした。(狩場であるからして場所の詳細は秘密である。ヽ (´ー`)┌ )  車を降りて、1~2キロ林道を歩く。三年前には林道の山側に難なくみとめることができたササユリ・・・今や一本もない。  やはり絶滅してしまったのかと一気に足取りが重くなる。  「まあ仕方ない。去年も一昨年も見つけることが出来なかったのだ。もうこの地のササユリは絶滅したのだろう。きょうは散歩でいいや。」と心の中で呟き、自分で自分を慰めながら更に1~2キロ林道を進む。  そろそろ引き返そうかと思ったその時、前方で白いものが風に揺れていた。もしや・・・と思いながら足を速める。  「おお~、久しぶり。やっと逢えたな。」  時期的に遅かったため、既に萎れかかってはいたが紛れもなくササユリ。カメラに収めるには余りに忍びない姿であったが、「よくぞ無事でいてくれた!」と感慨も一入である。  一株あれば、他にもあるに違いな…

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初夏の富士山中腹散策

 2009年6月13日(土)  今夏密かに富士山頂を極めようと約束している友人と、そのイメージトレーニングも兼ねて、富士山中腹の散策に出かけた。香陵63期の同級生であるが、向こうは野球部、こちらはサッカー部。高校時代はグランド使用権をめぐって激しく反目しあった間柄である。いやいやいや、向こうはそんなこと少しも気にかけず、当然のごとくグランドを占領していた。あの頃サッカーはまだまだマイナーなスポーツ。いつもグランドの片隅で小さくなって練習していたが、「何故野球部ばかりがもてはやされるのだ?!」と憤りを感じていたものだ。それがどういう訳か今は馬が合い、よく一緒に出かける。3年ほど前には「ちょっと笑える話」で、私を同窓生の間で一躍人気者に仕立ててくれたご仁である。おかげで、同級生が私と会った時の挨拶は「おい、きょうは靴は大丈夫か?」である。  甲子園出場と言う見果てぬ夢を後輩たちに託すいまだ永遠の野球少年。こちらもジーコさんを遥かに超える最年長でのJリーグデビューを人知れず夢見ていた永遠のサッカー少年であったが、数年前、その「永遠」をあっさり返上し、山歩きに転向した。その、ツレの「永遠の野球少年」も、最近、頓に「山歩きにつれてけ」とせがむようになった。こちらもやはり「永遠の野球少年」返上の日が近づいたか?  天気予報は午前中曇り、午後には雨の可能性も高いと予想されていた。連れのKA君は雨男、流石に大したもんだ。しかしなんのなんの、拙者は無類の晴れ男。やがて拙者の力が勝り、彼が迎えに来てくれ…

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オトシブミ探し

 副題を「モテナイ中年男の恋文探し」としたい。と言うのは、当初、タイトルを「モテナイ中年男の恋文探し」としたところ、早速コメント欄にいかがわしい業者のいかがわしいリンクを貼り付けられ辟易。よって、これは副題とし、タイトルは「オトシブミ探し」と変更することにした。モテナイ中年男はいかがわしい業者の恰好のお得意さんになると思われたのだろう。うう~、(-_-)ゞ゛  不徳の致すところ。反省。(;-_-;)  知人が読んだら、「中年???いやいや立派なご老人ですよ」なんて言われそうだが、五十肩で苦しんでるんだから立派な中年だろうと反論したい。「えっ!何年遅れの?」・・・ドクターの言うには八十でも九十でも五十肩って言うんだそうな。  ところで五十は中年だろうか?・・・まあ、それは置いといて・・・ヽ( ´ー)ノ  ここ数年、個人的に私の夏を迎える儀式となっている恋文探しに出かけることにした。  昨年は一つも見つけられず、「ああ~俺はやっぱりモテナイんだな」と悲観したものであったが今年はどうだろうか?  愛鷹山の林道を登って行くと、程なく爽やかな新緑が迎えてくれる。  平安時代の男は、想いを寄せる女性に書いたラブレターを、わざとその女性の歩いている前に 落としておく、“落とし文”という優雅な風習を身につけていたそうな。しかし今や男女共同参画の時代、女性の方が私の歩いて行く前にオトシブミの一つや二つ落として行ってくれてもよさそうなものだが・・・などと、愚にもつかないことを去年も考え…

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Spring Ephemeralとの出会い

 春と言うよりも初夏と言った方が良いかもしれない5月2日、「春先のはかない命」との素敵な出会いがあった。  休日は高速道路は利用しない主義なので、ここ四半世紀の間に何十回となく訪れた近場の森を散策していた。「ここらでお昼にしようか」と、いつも腰を下ろす場所に眼をやった。するとそこは直射日光が当たっていたので、どこか日蔭はないかと辺りを探した。わずか2~3メートル離れたところに頃合の場所があった。そこを陣取って腰を下ろす。  保冷バッグで持参した冷たいタオルで顔を拭い、やはり保冷バッグで持参した冷たいペットボトルの水を飲んだ。これが実に幸せなひと時である。山歩きでかいた汗を冷たいタオルで拭き取り、冷たい水を飲む。これほど気持ちが良くて美味いものはない。人心地ついておにぎりを頬張ると、目の前に白い可愛い花が咲き乱れていることに気がついた。  ん?ん?・・・これはもしや・・・ニリンソウではないか?  植物に全く興味の無かった数年前までの私なら決して気がつかなかっただろう。現実に四半世紀もの間、気がつかなかったのである。  数年前に、ヘブンリーブルーの写真をネットで目にして、いたく感激し、自分でも撮ってみたいと実際にヘブンを育てデジカメを始めた。その後、散歩には必ずデジカメを持ち歩くようになり、それまで見えなかったものが見えるようになってきた。  イチリンソウやニリンソウのことは話には聞いていたが、実際に目にしたことはない。故に全然分からない。しかも、命名の由来ともなっている一…

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金冠山

 二酸化炭素排出削減に世界中が躍起となっているにもかかわらず、「休日は何処まで行っても高速道路料金千円」などと能天気な施策に国を挙げて浮かれ、日本中のあちこちで渋滞を作り出し、二酸化炭素排出増大にいそしむ天の邪鬼国家・日本。そんな情けない笛をいくら麻生君が釈迦力になって吹こうが、「決しては踊りはせんぞ!」と、休日の高速道路利用を自ら封じた我輩はいかに休日を過ごしたらよいのだろうか???(笑  積雪のため閉鎖される富士登山口へのアクセス道路は例年ゴールデンウィーク直前に解放される。よって、ゴールデンウィークの初日は何時もなら太郎坊へ出かけるのだが、寄る年波には勝てず、「富士山の中腹は寒いだろうな」と言う不安が胸をよぎり腰が浮かない。  天気は上々。「この天気なら富士山は歩くよりも眺めた方がよい。」と、自分を納得させるための言い訳をさっさと考え、富士山中腹の散策からは即、撤退。てっとり早く富士を眺めるならばと、以前から気になっていた金冠山を頭に浮かべる。  ルートは修善寺からがよさそうだが、一応ゴールデンウィーク。人気コースより不人気コースが良かろうと沼津の“市民の森”からのルートを選んだ。しかし、これは将に杞憂。ゴールデンウィークの金冠山ハイキングなんて貧乏ったらしい遊びをするのは吾輩一人であった。みんな麻生節に乗っかって高速道路かな?してやったり、またも山頂を独り占めだ。  沼津の“市民の森”の駐車場に車を止め、キャンプ場の管理棟脇から登り始める。なるほど不人気な訳だ。樹種も檜…

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季節の花(4月、愛鷹山で)

 春・四月、季節の花を求めて愛鷹山に入る。  お目当てはキブシ。  麓ではソメイヨシノがほぼ満開であった。 少し登ると、マメザクラだろうか?マメザクラにしてはちょっと早いような気もするが、小振りな花、ソメイヨシノの半分位の大きさの花を付けた桜が綺麗だった。  お目当てのキブシは、まだ早すぎた。残念。山はまだ目覚めたばかりだ。  見頃は、あと1週間ほど先であろうか?綺麗な簪になるにはまだ1週間程はかかるだろう。  多分、来週には↓こうなっているであろう。  http://kazenokinomamaniki.at.webry.info/200804/article_5.html  可憐なヤマルリソウはあちこちに見られた。  これは何だろう?  花の大きさはヤマルリソウ位の小さな花。やはり可愛い。小さいながらも凛としている。  後に、“はなせんせ”に尋ねたところ、ユキノシタ科「ハナネコノメソウ(花猫の目草)」と分かった。  ミツマタはそろそろ盛りを過ぎる頃であろうか?

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セピア色の秋

 今年の紅葉は密かに期待していたのだが、太郎坊周辺の森の様子はいつになく見るべきものがない。  最近の天候のたおやかさに欠ける点はいつも思うことだが、太郎坊周辺に限って言うと、今年は紅葉する前に荒々しい強風に葉っぱを殆ど散らされてしまった感じだ。  クルクルにカールし、チリチリに乾ききった枯葉がうず高く積もった小径を、カサカサと音を立てながら歩くのはとても楽しい。これだけ音を立てていれば、鈴を鳴らさなくとも熊は逃げてゆくだろう。  しかし、紅葉はダメでも富士山にはもっとシックなカラマツ林の黄葉がある。  この時期、幕岩上のカラマツ林はあたり一面をセピア色に染める。  上空で、木々の梢たちと風が出会い、賑やかに音を奏でる。  ひゅ~っ!ザワザワザワザワ、ヒュルルルル~  自然の奏でる伴奏に励まされながら、カラマツ林の小径を登る。  ひたすら歩き、ふと見上げると、カラマツ林の上に宝永山の溶岩ドームが立ちはだかっている。    視線を東に転ずれば、木花開耶姫様の乳房が見える。私の大好きなオッパイ山(二子山)だ。夏の間よく日焼けしたらしく、小麦色の肌を惜しげもなくあらわに。・・・ちょっとマダラだが・・・。ヽ( ´ー)ノ でも、いつもながら形は良い。  三辻周辺の森林限界を見渡すと一面セピア色である。  今月下旬には登山道への進入路は閉鎖される。このセピア色の世界が白銀の世界に変わるのも間近なことだ。…

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去り行く夏に思いを馳せて・・・

 夏になると気になるアイツ・・・それはアサギマダラ。  夏になると、富士山の太郎坊~幕岩~二子山コースを良く散策するのだが、幕岩周辺の森の中ではアサギマダラ初め多くの蝶たちを見かけたものだ。それが昨年あたりからトンと見かけなくなった。最近のあまりの天候の荒々しさに旅の途中で叩きのめされてしまったのではないかと心配している。今年もとうとう1頭のアサギマダラにも出逢うことができなかった。  もしかしたら南の島に帰るアサギマダラに逢えるかもしれないと、富士山に向かった。  夏の間、幕岩周辺ではついに1頭も見かけることがなかったので、昨日はポイントを変え、西臼塚の林の中に入ってみた。  林の中は、ゲンノショウコ、シロヨメナ等が花盛りであったが、お目当てのアサギマダラはいない。  もう実りの秋を迎えようとしているのだ、皆、南の島に返ってしまったのだろうか?それなら良いのだが、しかし、昨年今年と1頭も見かけなかったことが気になる。  自然は時々とんでもない造形で我々を笑わせてくれる。  これは随分と色っぽい胸騒ぎの腰つきだ。過ぎ行く夏を惜しんでサザンの勝手にシンドバットでも歌っているのだろうか?  こちらは色っぽさもなくなったコブ爺さん。  ヒメシャラはどこの森でも目立つ存在だ。なんとも艶めかしく美しい。  アサギマダラは諦め帰路に就いた。  途中見かけた水田は、ほんのり黄色く色づいた稲穂…

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富士登山、若気の至りか年寄りの冷や水か・・・で、登頂断念。

 八月に入って直ぐのことだった。  七月の中旬からデスクワークが続き、普段から弱い腰に大分負担がかかっていたことは認識していた。『ヤバイな』とは思っていたものの、不用意にちょっと中腰になった瞬間、いつものように腰にビビッ!と来た。  『ううっ!遂にやっちまった』と思いながら、そ~っと動いて、リビングルームのソファーの上に寝そべる。  『さあ~て困った・・・どうするか・・・仕事は今直ぐにしなければならないものはない。』あれこれ確認し、暫くそのままでいることにした。ぎっくり腰は、やった当初は安静が一番。  ふと横を向いた瞬間、普段視線が行くことのないテーブルの天板の下棚に目が行った。そこに一冊の本が置かれていた。「おお~っ!」と思い出しながら手に取る。それは香陵63期の同窓生から送られた「リャマとアルパカ」と言う本であった。  『そう言えば、随分長いこと置きっぱなしだな~』と思いながら最後のページを捲ってみると1995年6月10日初版第一刷発行と印刷されていた。  読書の苦手な我が所業である。トルストイの戦争と平和の訳本は、四十年かかってまだ3ページしか読んでいないが、これは十三年かけてまだ1ページも読んでなかった。  『もう十年以上も置きっぱなしか・・・ワリイ、わりい、随分長いこと置きっぱなしだったな~』と心の中で呟きながら最初のページを捲った。  小高い丘陵の連なりに挟まれたなだらかな谷間を、清流が蛇行しながらゆっくりと流れている。ネバーダ(雪山)の白い稜線が遠く望まれ、湿原で…

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「きょうの散歩(富士山須山口~幕岩上~三辻)」について

 各・富士登山口の閉鎖が解ければ、愈愈散歩の季節である。  4月29日、太郎坊へ向かう。  途中、自衛隊の東富士演習場を過ぎた辺りで、一頭の鹿が道路右側の林の中から飛び出てきて、私の直ぐ前を走っていた車両と接触した。  鹿は一瞬よろけるも直ぐに体勢を立て直し、左側の林の中に飛び込んだ。私も車を止め鹿の飛び込んだ林に目を凝らすも鹿の姿は見えない。(・・・良かった、どうやら鹿は無事のようだ。)  前の車両から、同年輩ほどのオッサンが降りて来て、やはり鹿の逃げ込んだ林を覗き込んでから、私の車の方を覗き込んだ。  「危なかったね。」私が声をかけると、「いや~っ、急に飛び出してきたもんね、避けれないよね。」と笑いかけた。  「鹿の方は無事のようですよ。」と言うと、「そうだね、居ないもんね。」と答えた。  「じゃ、気をつけて」と私は声をかけて、停車していた前の車両の右側をすり抜け、追い越すように先を急いだ。その際、その車の前の部分を振り返ると、気の毒にボンネットがベッコリ凹んでいた。『おお~結構激しく当っているな。鹿は本当に大丈夫だっただろうか?』と思いながら通り過ぎた。  実は去年は、太郎坊への進入路の閉鎖が解除されるずっと前の4月7日に「きょうの散歩(富士山須山口~幕岩上~三辻)」」(←クリック)を歩いたのだが、その時は薄っすらと雪が残っているに過ぎなかった。しかし、今年はそれよりも二十日以上もあとだというのに駐車場の直ぐ上にまで雪渓が残っていた。温暖化とは言え、今年は寒暖を繰り返しな…

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木五倍子(キブシ)

 朝のうちは雨。外出を諦め、家でくすぶっていると、雨は上がったものの日が出たりまた曇ったり、どんよりとまた今にも降りそうな気配を繰り返していた。  昼前になって、何とか暫くはもちそうな空模様に、重い腰が上がった。  雨上がりの愛鷹山に入ると、長い間眠りに就いていた木々たちも、目覚めの時を向かえ、芽吹き始めていた。  鶯は競い合うかのようにさえずり、賑やかなお出迎えだ。  雨上がりとは言え、晴れ渡った雨上がりではない。もう雨の降る心配のない晴れ渡った雨上がりなら、花粉が一気に飛散するものだが、まだこれからも降る雨の合い間の雨上がり、こんな雨上がりは花粉の飛散は少ないものだ。空気は澄み渡り、花粉症持ちでも鼻で呼吸できる。かすかに緑の匂いのする新鮮な空気を胸いっぱい吸い込む。  この時期、山に入ると、↓こんな光景が見られる。  木五倍子(キブシ)である。  それにしても、読みは三文字なのに漢字で書くと四文字とはどう言うことだろう?  果実に含まれるタンニンが、黒色染料の五倍子(ぶし)の代用になるところから命名されたそうだが、では、読みが二文字なのに漢字で書くと三文字の五倍子(ぶし)とはこれ如何に?  はなせんせによると「全国に分布する落葉の低木で、谷沿いに生育し、明るい方向に枝を伸ばして簪のように垂れ下がって花を咲かせる」とのこと。  なんとも・・・自然の妙である。  立ち止まって暫し眺めてしまう可愛い奴。  本…

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