風の気のままに記

アクセスカウンタ

zoom RSS 核兵器は抑止力となり得るか

<<   作成日時 : 2011/09/12 16:28   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 8 / トラックバック 0 / コメント 0

 最近、北朝鮮、韓国、中国、ロシアの国境周辺での動きを報じるマスメディアが増えているように見える。
 それに呼応するかのように、政治家等々影響力のありそうな人たちの日本に対する諸外国の領土的野心を訴える言動も目につくようになってきた。マスメディアの報道や著名人たちの発言の目的は、外国の脅威を訴えての軍備増強論である。特に、諸外国と対等に渡り合うためには、核兵器を保有するしかないと言った論調が大勢を占めている。核兵器を保有することは、諸外国の我が国の領土に対する最大の抑止力となると言うのが核武装論の根拠となっているようだが、核兵器は本当に抑止力と成り得るであろうか。

 誰もが分かっていることだが、核兵器は実際に使ったら終わりである。放射能で汚染させてしまったら、その土地は使うことができず、従って占領もできない。つまり、核兵器で攻撃してしまったら、その戦争の目的である領土的野心を満たすことはできない。即ち、核兵器の保有はあくまでも脅しが目的であり、実際には使えない兵器であることは誰にでも分かっていることである。
 また、核兵器は先制攻撃用の兵器であって、核兵器で攻撃されたらその報復で使用すると言う兵器ではない。何故なら、核兵器で先制攻撃を加える場合は、報復されないように、相手国を壊滅状態にするだけの弾頭数を打ち込む必要があるからだ。核兵器で攻撃される時は、日本の場合、この狭い列島に何十発と降って来ると思った方がいいだろう。着弾したら、例え核兵器を保有していたとしても報復する状態ではないと言えるだろう。核兵器での攻撃は先制攻撃でなければ意味はなく、報復用の兵器としては考えられない。つまり、使ったら最後の先制攻撃専用の兵器である。現在の国際情勢を見渡して、日本が諸外国に対し先制攻撃を加えることはあり得ないし、また、あってはならない。

 では日本が核兵器を保有したらどうなるであろうか?分かりやすく話を進めるため、今、日本人の誰もが最も脅威に感じている北朝鮮を例にとって考えてみたい。
 これはイスラエルとそれを取り巻くイスラム圏諸国の関係と、北朝鮮と日本の関係を対比して考えてみると分かりやすいと思われる。
 現在、核兵器の保有を表明している国は、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルである。また、保有の疑いのある国としてイラン、シリア、ミャンマーが挙げられているが、定かではない。
 もし、イランやシリアが実用段階の核兵器を保有したらどうだろう?
 北朝鮮同様アラブ世界からつまはじきにされているイスラエルは追いつめられる状態になる。そうなった場合は、イスラエルが、核兵器を使用するか通常兵器でやるかは分からないが、必ずや先制攻撃を仕掛けるのではないかと思っている。それがないと言うことはまだ実用段階の核兵器保有にまでは至っていないのではなかろうか?
 しかし、いろいろな国が入り組んでいる中東で核兵器の実際の使用は難しいであろう。それに引き換え、日本は極東と言われているように世界の果ての島国で、西側には他国が接近しているが東側半分は果てしない太平洋である。核兵器で攻撃してもアラブ圏と違い、周辺の国々に与える影響が少ないと言えう。つまり、核兵器で攻撃しやすい国と言えるだろう。
 極め付けを言うと、中国または北朝鮮が日本を核攻撃した場合、大気中に放出された放射能は偏西風に乗りアメリカの方へ行くことになり、海洋に放出された放射能は黒潮に乗り、これまたアメリカの方へ流れることになり、攻撃した側にとっては一石二鳥の都合の良さがあるが、日本が中国或いは北朝鮮を核攻撃した場合、大気中に放出された放射能は、黄砂やPM2.5のように偏西風に乗って攻撃した日本に帰ってくることになる。海洋に放出された場合も、黒潮や対馬海流に乗り日本に帰ってくることになる。つまり返す刀でわが身を傷つけることになる誠にトンマな諸刃の剣的攻撃となってしまうのである。核武装論者に問いたい。それでもやるかい?と。

 北朝鮮が、いくら非常識で大人げない国であったとしても、こちらが余程のちょっかいを出さない限り、今の状態で核兵器による先制攻撃を仕掛けてくるとはとても思えない。精々示威行為としてミサイル発射の演習を行うことはあっても、実際の核兵器による先制攻撃は考えられない。しかし、ある日突然、日本が核兵器を保有したらどうであろうか?それでなくても世界からつまはじきにされ過度に被害妄想に陥っている国である。やられる前にやれと思うに違いない。少なくとも今の状態よりは遥かに先制攻撃を仕掛けてくる可能性が高くなるに違いない。我が国の核武装は徒に相手国に恐怖心を与えるだけで、窮鼠猫を咬むの例え通り、相手が何をするか分からない状況を作り出すことになってしまう。抑止どころか返って核攻撃を自ら呼び込む愚行と言える。

 このように簡単な理屈が核武装論者に分からないはずがないのだが、敢えてそれを言うは裏がありそうだ。
 核兵器の原料は原子力発電所から廃棄される使用済み核燃料である。核兵器の製造にはどうしても原子力発電が必要となる。昨今の脱原発ムードに危機感を持った原発推進派が、ありもしない他国脅威論を演出し、間接的に原発温存、あわよくば原発を更に推進しようとする意図が見え隠れする。また、その逆に、原発を推進し、核燃料サイクルを確立しておけば、その使いきれないほどのプルトニウムで「我が国は何時でも核武装できるぞ」と言う脅しになると考え、これも抑止力だと無理な筋書きを企てる輩もいるようだが、笑止千万な屁理屈に過ぎない。

 このように原発と核兵器はきっても切れない縁にあり、双方とも危険極まりない存在である。
 抑止力にもならない。存在するだけで人類に災厄を何時もたらすかも分からない双子の悪魔とは、早々に決別すべきである。
 技術大国・日本がフクイチの経験を生かし絶対安全な原子炉を作り世界に提供すべきだなどと言った原発推進論者の戯言が聞こえてくるが、今までの原子炉も電力会社が描いたいい加減な想定の範囲内では絶対に安全な原子炉であったはずだ。想定とは、「ある一定の状況や条件を仮に思い描くこと」つまりは人知の及ぶ限界のことではなく、規模は思い描く人間が勝手に決めれば良いと言う意味であり、電力会社が採算の取れる範囲内で逆算して算出した想定値など、とても信頼できるものではない。それは今後も絶対に変わることはない。
 自然災害に対する備えも不十分な我が国の原子炉は、テロや外国からの攻撃に対しても無防備である。それどころか恰好の攻撃目標であることを想定すらしていないだろう。原子炉は常に攻撃の恰好のターゲットでり、その点でも危険極まりない存在である。
 今、日本がすべきことは、広島・長崎・第五福竜丸・東海村の臨界事故、そして今回の福島第一原子力発電所の悲惨な歴史を胸に刻み、同じ過ちを二度と繰り返さないように、常に対をなす原発と核兵器の双方をこの世から無くすべく世界に向かって訴え続けることであり、そうならなければいけない。

 震災復興は儘ならず、福一の収束も目処が立たず、国難の時である。それに加えるに国策で進めて来た原発に対し勢いを増す脱原発ムード。国内に難問を抱えた場合、国民の目を外に逸らすよう仕向けることは、非民主的国家の常套手段だ。殆どのマスメディアが国策新聞に陥ってしまった昨今、外国脅威報道に踊らされてはいけない。国民よ、冷静であれ!

 「イスラエル化する日本」へ続く。


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 8
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス
面白い
ガッツ(がんばれ!)
核兵器は抑止力となり得るか 風の気のままに記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる